春になると、道端でよくオレンジ色のポピーらしき花を見かけませんか?
あれ、正式名称はナガミヒナゲシと言います。
ひと昔前は全く見かけなかったのに、最近はそこらじゅうに咲いています。
一見カワイイ癒し系の花ですが、実は驚異的な繁殖力と拡散力があります。
また、アレロパシーという他の植物の発育阻害力を持っています。
この記事では、そんなナガミヒナゲシの性質と駆除すべき植物なのかを解説します。
ナガミヒナゲシってどんな植物?
ナガミヒナゲシは最近道端でよく見かけるようになったオレンジ色の花です。
漢字では【長実雛芥子】または【長実雛罌粟】と書きます。
実が細長いからそんな名前になったのでしょう。
ケシ科の植物をポピーと呼ぶので、ポピーと呼んでも間違いではないです。
日本では青森と沖縄以外の全国に分布しています。
大量の種が1つの実に詰まっている
ナガミヒナゲシの花が終わってしばらくすると、シャンパングラスに蓋をしたような形の実になります。
その中には平均1600個もの種が詰まっています。
一株から10本ほどの花が咲くので、10万個以上もの種ができます。
しかもその種が小さい!

ご覧の通り1mmもないです。
「こんな小さな種から植物が生えてくるのか!」と思うほど小さいです。
そしてこの種の小ささがナガミヒナゲシの拡散力を生んでいます。
爪の間に入ってしまうほど小さいので、動物に付着しやすいし、風に運ばれていくこともできるでしょう。
また、車のタイヤの溝などに入り込んでしまうので長距離の移動ができます。
しかも少しでも土があれば発芽できるので、道路沿いのアスファルトの隙間でも繁殖します。
このようにして急速に全国に広がっているのです。
ナガミヒナゲシのアレロパシー
ナガミヒナゲシは他の植物の成長を阻害する物質を出します。
しかもその作用は強く、特定外来生物に匹敵するとも言われています。
実際、庭のナガミヒナゲシを抜いてみたところ、その周り半径3cmくらいの芝生が黄色く変色していました。
日が当たらなかったせいかもしれませんが、周りの植物には少なからず影響はありそうです。
根は短くて簡単に抜ける
繁殖力が抜群のナガミヒナゲシですが、抜くのは簡単です。
根は5cm程度しかなく、スポッと抜けます。
しかもナガミヒナゲシは1年草なので、タンポポのように残った根から次の年も生えてくることはなさそうです。
ちなみに茎が切れると黄色い乳液が出てきます。
これにもアレロパシー物質が含まれるので注意が必要です。
肌の弱い方も注意しましょう。
ナガミヒナゲシは特定外来生物に指定されていない
ナガミヒナゲシはアレロパシー作用が強く、拡散力もありますが、今のところ特定外来生物には指定されていません。
特定外来生物というのは、生態系や人間、農林水産物に被害を及ぼすかどうかが基準になります。
ナガミヒナゲシはさほど危険な植物ではない
ナガミヒナゲシが日本で目立つようになってきた現在でも特定外来生物に指定されていないことを考えると、さほど生態系に悪影響を与えるわけではなさそうです。
将来的に特定外来生物に指定される可能性はありますが、心配するほどではないでしょう。
ただし、自宅の庭や畑に生えていたら、雑草化して増える前に早めに駆除する方が賢明かもしれません。
特に畑などでは土を耕したときに、土の中に混ぜ込まれてしまうとアレロパシー作用で作物に悪い影響を与えかねません。
また種もバラまいてしまう可能性がありますからね。