キムリアが3300万円に薬価がつけられて話題になりましたが、脊髄性筋萎縮症(SMA)の治療薬であるゾルゲンスマ(ZOLGENSMA®)がアメリカで212.5万ドル(約2億3000万円)の薬価が付きました。
そして日本でも1億6707万7222円という史上最高額の薬価が付きました。
ゾルゲンスマはノバルティスファーマから発売されます。
これまで脊髄性筋萎縮症(SMA)の患者は幼くして命を落とす病気だったのですが、ゾルゲンスマは革新的な治療薬になると思われるため、億単位の薬価が付いたのです。
ゾルゲンスマってどんな薬?
簡単にわかりやすく言うと、ゾルゲンスマはウイルスです。
ウイルスが薬になるの?と驚く方もいるかもしれませんが、ウイルスを薬に使う遺伝子治療の研究はかなり前から進んでいました。
ウイルスは通常、動物(または細菌)の細胞に取り付いて、自分の遺伝子をその細胞の中に送り込みます。
そこで、送り込まれた方の細胞は、それを自分の遺伝子と勘違いして、その設計図通りに、ウイルスの増殖に必要な部品(タンパク質など)を作るわけです。
それらを組み立ててウイルスは増殖していくのですが、この性質を利用したのがゾルゲンスマ。
脊髄性筋萎縮症(SMA)の人は元々SMN遺伝子という遺伝子がないので、その設計図から作られるはずのSMNタンパクというものが作れません。
このSMNタンパクというのは、神経や筋肉の働きに必要なものなので、これがないと筋肉が動かせなくなってしまうのです。
そこで、ウイルス(ゾルゲンスマ®)を使って、全身の細胞に必要なSMN遺伝子をブチ込むのです。
すると、その設計図を元にSMNタンパクが作れるようになり、症状が改善するという仕組みです。
この薬は2歳以下の患者にしか使うことができません。
ゾルゲンスマは本当に高額なのか?
それまでのSMA治療にはスピンラザ®という薬が使われてきましたが、これは4ヶ月に1回投与する必要がありました。
ちなみに薬価は932万円なので、年間で約2800万円、4年で1億円を超えます。
一方、ゾルゲンスマは1回のみの投与で終了するのが利点です。
そういう意味では、億単位の薬価が付いてもまだ安いと言えるかもしれません。
ただし、大人になってもゾルゲンスマの効果が持続するかどうかはまだわかりません。
これから投与される子供たちが、実際大人になってみないとわからないからです。
